「セルロースナノファイバーって何?」

「もっと詳しく知りたい」

そんなあなたのために、今回はCNF(セルロースナノファイバー)のメリットやデメリットなどの特徴を紹介していきます。

素材の特徴だけではなく、将来展望も収集していますので、概要を把握したいあなたにピッタリです。

そもそもCNFって何?

CNFは木材や竹などバイオマスな素材をナノレベルまで小さくしたものです。

原料がどのように変化していくのかイメージを紹介しますね。

木材・竹

チップ

原料を細かく砕いたものです。

パルプ

化学処理や専用の機械により、さらに細かくしたものです。

CNF

パルプをナノレベルに分離したものです。

ナノレベルとは1mmの百万分の1のことで、肉眼では見えない大きさとされています。

学校の理科室にある光学顕微鏡でも見ることはできず、電子顕微鏡といわれる高精度の顕微鏡でしか見えない領域です。

セルロースとは植物細胞の細胞壁や繊維の主成分のこと。

つまり、CNF(セルロースナノファイバー)とは

植物性の素材をめっちゃ小さくしたもの

と把握しておけばいいでしょう。

そんなCNFを実際に見て、触ってみたい場合はこちらもご覧ください。

CNFを活用したグッズの無料サンプル品も提供中です。

CNFのメリット

代表的なメリットとして

  • 鉄の5倍の強度で、1/5の軽さ
  • 木材なので、カーボンニュートラル実現に貢献できる
  • 線膨張比率が低い(ガラスの1/50程度)
  • 分解されやすいため、廃棄されても土に還るスピードが早い

が挙げられます。

鉄の5倍の強度で、1/5の軽さ

特にPRされがちなメリットが鉄の5倍の強度で、1/5の軽さです。

本当に鉄よりも硬いのか?

非常に分かりやすく説明されたサイトがありましたので、内容をシェアします。

セルロースナノファイバーの単繊維の引張強度は3GPaです。一方、一般構造用圧延鋼材(SS400)の引張強度は0.45GPa、機械構造用炭素鋼(S45C)の引張強度は0.828 GPaなので、セルロースナノファイバーは鋼鉄の5倍の強度、と言っているわけです。

引用元:ナノセルロース・ドットコム

さらに定量的ではない証明ですが、当社が仕入れている紙タイプのCNFを破ろうとしても人の力では無理でした。

ハサミでも無理です。

このことからもかなりの強度であることは理解できます。

そんなCNFですが、当社ではレーザーで加工しています。

本当に鉄の1/5の軽さなのか?

当社手持ちのCNF(紙タイプ)と鋼板の理論上の重量を比較してみたところ

当社手持ちのCNF(紙タイプ)350g
鋼板(SS400)の理論上の重量1962.5g
サイズ:500mm×250㎜×2mm

1/5の軽さは実現。

とはいえ、紙になったCNFと鋼板(理論上)の重量との比較ですので、少し無理やり感はありますが。。。

ちなみに鋼板重量の計算方法は

50cm×25cm×0.2cm×7.85(定数:比重)=1962.5g

です。

植物なので、カーボンニュートラル実現に貢献できる

植物の成長過程でCO2を吸収してくれますので、カーボンニュートラルに貢献可能です。

カーボンニュートラルを詳しく知りたいあなたはこちらもどうぞ!

線膨張比率

「線膨張比率って何?」

私も最初の頃は知りませんでした。

簡単に説明しますと熱による変形度合いのことです。

この比率がガラスの50分の1とされています。

分解されやすいため、廃棄されても土に還るスピードが早い

すぐに生分解されるため、そのまま廃棄されたとしても土に還ります。

北越東洋ファイバー様の実験がとても分かりやすいので、紹介しますね。

引用元:北越東洋ファイバー株式会社

生分解調査を実際にやってみました

私たちが製造に活用しているCNFを土に埋め、本当に生分解するのか確認しています。

2024年1月12日

①厚さ:1㎜、②厚さ:2㎜、③厚さ:1㎜を細かく砕いたもの

を以下のように埋め込みました。

埋めた場所が分からなくなる可能性がありますので、印もセットします。

2024年2月12日の様子

2㎜のCNFは少し軟らかくなった程度です。

1㎜のCNFはだいぶ軟らかくなりました。

2024年4月1日の様子

2㎜のCNFもだいぶ軟らかくなってきました。

1㎜のCNFは手で破けるぐらい軟らかくなっております。

CNFのデメリット

最大のデメリットはコストです。

プラスチックの代替素材としてPRされていますが、コストが高いため、まだまだ一般的な素材として認知されておりません。

数多くのメーカーや海外の販売サイトを調べましたが、

  • 液体タイプの場合:1万円以上/kg
  • パウダータイプの場合:10万円以上/kg

と安くはありません。

当社で使用しているCNFにつきましても、同じサイズのプラスチックと比較しますと、高価格です。

高価格の要因として

  • 生産コスト
  • 普及率の低さ

が挙げられます。

ネット上で検索すると分かりますが、これらがメインです。

そもそもCNFを知っている人が少ないことを考慮しますと、徐々に普及することで、徐々にコストへ反映、さらに普及といった流れになるのではと考えています。(希望的観測)

ちなみに海外では、輸送コストについても言及されています。

Renewable cellulosic nanomaterials exhibit great potential in various applications due to unique properties. Abundant availability of feedstock has led to industrialization of production. A significant cost-limiting factor to utilize cellulosic nanomaterials is dewatering/drying as cellulosic nanomaterials are not economical to ship long distances while containing significant water content (>95 wt.%). This represents a critical driver for increased costs of nanocellulose products.

引用元:IOP Publishing

DeepLでの翻訳

再生可能なセルロース系ナノ材料は、そのユニークな特性から、様々な用途で大きな可能性を秘めている。原料が豊富に入手可能なため、生産の工業化が進んでいる。セルロース系ナノ材料を利用するための大きなコスト制限要因は、脱水/乾燥である。セルロース系ナノ材料は、かなりの含水量(95wt%以上)を含むため、長距離輸送は経済的ではない。これは、ナノセルロース製品のコスト上昇の決定的な要因となる。

コストに対して様々な課題がありますが、高い性能を持つ材料だからこそ、これら課題を解決した先には大きなブレイクスルーが起こるかもしれません。

CNFの将来展望

環境省や海外のリサーチ機関によりますと、CNFの市場規模は成長し続けると予測されております。

環境省はCNFを普及させようとしているため、成長するとの予測は当然といえば当然ですが、海外のリサーチ機関も成長すると予測しているため、成長する可能性は高いです。

平成 25 年度製造基盤技術実態等調査(製紙産業の将来展望と課題に関する調査)報告書では、経済産業省は、2030 年の CNF 関連材料の市場創造目標として、国内全体で年間 1 兆円を掲げています。

引用元:環境省

こちらは海外のリサーチ機関の情報です。

The global nanocellulose market size was valued at USD 351.5 million in 2022 and is projected to grow at a compound annual growth rate (CAGR) of 20.1% from 2023 to 2030. The growth is attributable to the rise in demand for various applications and the shifting trend for using bio-based goods are the factors responsible to drive demand for product. Due to its various qualities, such as increased paper machine efficiency, better filler content, lighter base mass, and higher freeness, nanocellulose is suitable for the producing a wide range of products. The paper industry uses nanocellulose as a prominent sustainable nanomaterial additive owing to its high strength, strong oxygen barrier performance, low density, mechanical qualities, and biocompatibility among the available bio-based resources. Additionally, the construction of materials, aqueous coating, and others are some of the major uses of nanocellulose composite materials.

引用元:grandviewresearch.com

DeepLでの翻訳

ナノセルロースの世界市場規模は2022年に3億5,150万米ドルと評価され、2023年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)20.1%で成長すると予測されている。この成長は、様々な用途への需要の増加と、バイオベースの商品を使用する傾向の変化が、製品需要を促進する要因となっている。ナノセルロースは、抄紙機の効率向上、フィラー含有率の向上、ベースマスの軽量化、フリーネスの向上など、さまざまな特質を備えているため、幅広い製品の製造に適している。製紙業界は、利用可能なバイオベースの資源の中でも、その高い強度、強力な酸素バリア性能、低密度、機械的品質、生体適合性により、卓越した持続可能なナノ材料添加剤としてナノセルロースを使用している。さらに、ナノセルロース複合材料の主な用途としては、材料の建設、水性コーティングなどが挙げられる。

※環境省の提示している値とgrandviewresearch.comでは市場規模を測定するための対象範囲が異なっているため、値が乖離していると予測されます。

当社ではCNFを活用したモノづくりを推進しております。

クリップやスマホスタンドなど身近なグッズから置き換えられますので、サクッと試してみたいあなたにピッタリです。

他のサステナブルな素材との比較検討にもご活用ください。